CASE STUDY
進出事例
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INTERVIEW 05
株式会社Gear8[ギアエイト]
代表取締役
水野 晶仁
代表取締役の水野晶仁さんは、大手ホームセンターに就職後、仕事の傍らでデザインを学び、2008年に個人事業主として「Gear8 Graphics」を創業。木材のバイヤーになりたいと思っていた水野代表でしたが、デザインの道に進むことに決め、海外にも事業を拡げています。
海外進出のきっかけ
Gear8は日本国内を中心に、Webサイト制作のほか、デザインやプロモーション、ブランディングをワンストップサービスで提供している会社です。創業後、ご縁があって中国の上海でプロジェクトマネージャーとして、ゼロから新サービスの立ち上げに携わりました。言葉の壁をはじめ、想像を絶するような苦労もありましたが、独立後、海外で仕事をしたいという意思がありましたし、この経験がきっかけで海外展開への心の準備ができたので、自分にとっては非常に良い経験になりました。
上海での仕事は「商習慣が違う」、「難易度が高い」と感じていた一方で、「難しいのが楽しい」と思っていました。日本国内の仕事だと手慣れていますし、日本語で細かいニュアンスをお客様に伝えることができます。一方で海外の場合は、言語・文化・歴史に加え、商習慣そのものが違うので、仕事の難易度が高い分、乗り越えた時には達成感があり楽しく感じられました。この経験があって、上海での仕事が終了した後、5年以内には再び海外で仕事をしようと思いました。
同時に、国内だけで消費するデザインを国内のデザイナーやエンジニアだけで制作することに対して、面白みを感じなくなっていました。将来的には、海外にも視野を広げてデザインやエンジニアリングの可能性を広げたいと思っていました。
タイへの進出
2015年に北海道を訪れる海外観光客向けの自社メディア「Trippino Hokkaido」の発信にあわせて、2016年にタイのバンコクにオフィスを設置して、「Gear8 Thailand」として現地法人化しました。
自社のメディアを海外向けに拡散する場合、英語や中国語がメインとなる傾向ですが、そこでは勝ち目がないと思い、自社メディアを立ち上げる際に、まずはタイ語で展開することにしました。当時は、北海道に訪れるタイ人も多かったのですが、タイのローカル事情やニーズを把握しないと北海道の観光情報を提供できないと思い、タイに拠点を設置しました。立ち上げ当初は、マーケティング調査活動をメイン事業としていましたが、現地でのWebサイト制作に対応するために、日本人駐在員を配置し、現地からデザイナーやエンジニア、ディレクターを雇用しました。現在では主に日系企業を中心に業務展開を図っています。
台湾への進出
タイを中心に自社メディアを展開していましたが、北海道に訪問するタイ人は、日本の他都府県と比較してまだ少なかったため、タイ語に加え、英語と中国語(繁体字)の3か国語で自社メディアの発信を始めました。2018年には台湾でのローカル事情やニーズを把握するため台北にオフィスを設置して現地法人化しました。台湾では日系コミュニティが少なく、現地ローカル企業が主なクライアントとなるため、スタッフは現地の方のみとしました。当社のような日系企業がローカル企業に入り込むのは難しいですが、現地スタッフと協業しながら台湾向けのサービスを展開しており、現在は高い評価もいただいています。
今後の海外進出の予定
2024年を目途にタイに近いカンボジアのプノンペンにオフィスを設置する予定です。タイをヘッドクオーターとして「タイ・プラス1」の位置付けでカンボジアに進出します。特に、カンボジアの平均年齢は日本の約半分の26歳であるため、市場の成長性などの観点から非常に魅力的な市場です。主なビジネスとしては、デザイン制作に加えて、農業関連の社会課題を解決すべくデジタル技術を活用したビジネスを検討しているところです。将来的には、カンボジア以外にも、国を限定せずに東アジアや東南アジアを中心に10拠点体制をつくっていきたいです。
海外進出のメリット
海外進出で感じたメリットは3つあります。一つ目は、日本と海外のコラボレーションにより新しいクリエイティブが生まれることです。国内の仕事において、国内のデザイナーだけで対応するのではなく、文化や歴史、習慣が違う海外のデザイナーとの組み合わせにより、新しいクリエイティブやサービスを提供することが可能となります。これからはグローバルな視点が求められるため、一つの仕事を多国籍のスタッフで対応できる環境づくりをしていきたいです。
二つ目は、社員のモチベーションの向上や社内向けのブランディング強化です。社内文化の共有や従業員エンゲージメントの向上につながり、ひいては社外における自社ブランド力向上にもつながります。
三つ目は、自社業務の見直しです。海外では、これまで日本国内で展開してきたサービスが通用しないケースがあります。たとえば、日本国内で提供してきたデザインは通常オーダーメイドであり、所有権もクライアントに移転することが一般的です。しかし海外では、より低コストで利用できるデザインが求められるケースがあり、それに対応するためテンプレートを作成しサブスクリプション形式で提供し始めました。この経験をを基に、日本国内でも、クライアントのニーズに合わせて同様のサービスを展開する検討をしています。
海外進出を検討している企業へのエール
日本企業が海外進出する場合、現地調査やFS(Feasibility Study)※注4することにとどまり、結局進出しないパターンが多いと思っています。現地企業と取引をしてみる、または現地に準備室を設置するなど、一歩踏み込んだ対応が必要かと思っています。進出後、当初思い描いていたビジネスが軌道に乗らない場合は、コアスキルを崩さずに、提供するサービスを変更してみるなど、ある程度の柔軟性が求められます。「石の上にも3年」ではありませんが、まずは現地で一度事業をしてみましょう。
2008年(平成20年)創業、現在は札幌を中心にバンコク、チェンマイ、台北にて国内外の企業のWebブランディング事業全般を展開。Webサイト制作のほか、デザインやプロモーション、ブランディングまでをワンストップサービスで提供している。
また、外国人旅行客向けの自社Webメディア「Trippino HOKKAIDO」を海外向けに発信をしている。
- 社名
- 株式会社Gear8(ギアエイト)
- 所在地
- 札幌市中央区北3条東5丁目5 岩佐ビル1階
- 事業内容
- Webサイトのデザイン・コーディング及び構築、Webを活用したマーケティング戦略の立案、Webによる広告業
- 従業員数
- 26名